「あなたはもう一生、自分の足で歩くことはできない」と医師に宣告されたというシルケ・パンさん。

ロボットスーツ(電動外骨格)を使って、9年ぶりに自分の足で立てたときは「現実感がなく、夢を見ている気持ちになった」と話していました。

しかも、たった2か月でサイバスロン(サイバー技術を活用したオリンピック)に挑戦し、見事、4位に入賞。

写真は、パンさんを支えたスイス連邦工科大学ローザンヌ(EPFL)のチームの皆さんとのものですが、サイバスロンでは各競技者(チーム)はライバルであると同時に、技術を教え合う仲間でもあるとのこと。

サイバスロンを支援する赤十字国際委員会(ICRC)のパスカル・フント支援局長によれば、世界にはこの種の技術を求めている人は世界で4000万人-4500万人。

しかも、そのうち80%の人々は発展途上国の人々。

なぜならば、シリアやアフガニスタンなど紛争地域で、戦争により手や足を失った人が多いからです。

しかし、義手や義足を入手できる人々はそのうちのわずか5%-15%に過ぎず、多くの人たちに行き渡らない理由はコストが高いからなのです。

赤十字がサイバスロンを支援する一番の目的は、このイベントを通じて世界の耳目や投資をサイバー技術によるハンディ・キャップ支援に向けること。

今、数百万円する支援機器を50万円程度までコストダウンさせ、ひとりでも多くの身動きできない子供たちに夢を与えることだと、フント氏はいいます。

もちろん、戦争で手足を失った人だけでなく、いつかは老いて寝たきりになってしまうリスクは、私たちにもあります。

昨年10月、世界で初めてスイス・チューリッヒで開催されたサイバスロンには、電動車いすレース部門に出場した中嶋秀朗教授(和歌山大学)率いる「RT-Movers」が4位入賞。

また、株式会社メルティンMMI(CEO 粕谷昌宏)チームもパワード義手、FES電気刺激バイク部門に出場。

粕谷氏は「健常者、障がい者という既成概念ではなく、『人類を超える可能性を』」を標榜し、例えば、人間の手が3本になったら、どんな作業が可能になるかなど、ユニークな研究に取り組んでいます。

昨年からサイバスロンの関連イベントのPV制作を、在日スイス大使館より監督依頼を受け行っていますが、サイバスロン関連イベントの横浜市への誘致を政策集「横浜2021シナリオ」に盛り込んでいるのも、未来への可能性という背景がそこにあるからです。

それにしても、ドイツでは8時間もサイバスロンが放送されたり、ドキュメンタリー映画にもなったそうですが、私も今後とも追求したいテーマのひとつです。

やはり、テクノロジーは人を殺めるためでなく、鉄腕アトム(僕はその世代ではありませんが)、人を救うために使われて欲しいですね。