
国会には「衆議院」と「参議院」の2つの院があることを知っている人は多いことと思います。しかし、その違いについてご存知ですか?
「そういえば、社会科や公民の授業で習ったような…」という人も少なくないでしょう。
定数や任期、被選挙権をはじめ、多くの違いがあるんです。
そこでこちらでは、「衆議院」と「参議院」の違いをわかりやすく解説。
さらに与党、野党の違いについてもご紹介します。
目次
「衆議院」と「参議院」ってどう違うの?
「衆議院」と「参議院」ってどう違うのでしょうか?
その基本的な違いについて解説します。
まずは、「衆議院」と「参議院」、両院の大まかな概要をまとめてみました。
衆議院
- 定数:465人(小選挙区選出議員289人、比例代表選出議員176人)
- 任期:4年(途中解散があることも)
- 選挙:衆議院議員の全員を選ぶために行われるので「総選挙」といいます。4年の任期満了によるものと、解散によって行われるものがあります。一方、死亡や辞職などによる欠員補充で行われるものを補欠選挙といいます。
- 選挙運動期間:12日間
- 被選挙権:満25歳以上
参議院
- 定数:現在 242人(比例代表選出議員96人、選挙区選出議員146人)
2019年改選後 245人(比例代表選出議員98人、選挙区選出議員147人)
2022年改選後 248人(比例代表選出議員100人、選挙区選出議員148人) - 任期:6年(解散なし)
- 選挙:憲法で3年毎に半数が入れ替わるよう規定。解散がなく任期満了に伴い半数を選ぶために行われるので「通常選挙」といいます。一方、死亡や辞職などによる欠員補充で行われるものを補欠選挙といいます。
- 選挙運動期間:17日間
- 被選挙権:満30歳以上
小選挙区制の衆議院に対して、参議院は選挙区が広いので選挙運動期間が長く取られています。
大きな違いとしては、衆議院は任期が4年で解散することがあるのに対し、参議院は任期が6年で解散がないという点。
また、衆議院は全員が選挙するので、任期満了であっても解散であっても「総選挙」と呼ばれます。
それに対して、参議院は3年ごとに半数ずつ改選となるので「通常選挙」と呼ばれるんです。
さらに、「数の衆議院」といわれるように、衆議院の定数が465人に対し、参議院は現在242人。
被選挙権も衆議院が満25歳以上であるのに対して、参議院はその5歳上の満30歳以上となっています。
参議院は、衆議院と違って解散がなく任期も長いので、より長い視野に立った議論が可能です。
「数の衆議院」に対して参議院は第2院として「理」を重んじる場であると位置づけられており、衆議院の暴走を防ぐという大きな役割を担っています。
それが「良識の府」といわれるゆえんです。
そのため、被選挙権が衆議院議員より高く設けられているんです。
また、ここからは豆知識をご紹介しますね。
衆議院議員の記章(バッジ)は、金色の金メッキ製の11弁菊花を中央に配し、周りの生地は赤紫色です。
一方、参議院議員の記章(バッジ)は、金メッキではなく金製で衆議院より大きい11弁菊花が配され、周りの生地は紺色です。
衆議院議員の記章より高価なようですね。
また、議場はそれぞれほぼ同じような構造になっていますが、大きな違いとして、国会の開会式が参議院の議場で行われるため、天皇陛下が臨席されるお席が議場の正面中央に設けられているんです。
また、衆議院では議長席の上部に天皇陛下が傍聴されるお席が設けられていますが、参議院では議場の後方に設置されているという違いも。
採決の方法にも違いがあります。
参議院では「起立採決」、「記名投票」、「異議の有無」、「押しボタン式投票」が実施されているのに対し、衆議院では「起立採決」、「記名投票」、「異議の有無」のみで「押しボタン式投票」は導入されていないんです。
また、大きな違いのひとつとして権限も挙げられますが、こちらは別記事にて解説します。
「与党」と「野党」ってどう違うの?
よく「与党」と「野党」という言葉を耳にしますが、これはどういうものなのでしょうか?
与党とは、
政権を構成し行政を担当する政党のこと。一般には内閣を組織している政党を指す。
現在、国政における与党は、自民党と公明党ですね。
「行政府を与る(あずかる)、行政府に与する(くみする)政党」
であるため、「与党」といわれるんです。
現在のように複数の政党によって構成される政権や内閣を「連立政権」、「連立内閣」といいます。
また、内閣に閣僚は出さない政党が内閣に協力することを「閣外協力」といいます。
地方自治体では、首長を支持し政策に賛同する政党や会派が「与党」、「与党会派」に。
一方、野党とは、
政府を構成せず行政を担当しない政党のこと。「政府から離れた在野の政党」からきている。
現在、国政における野党は以下のとおり。
- 立憲民主党
- 国民民主党
- 日本共産党
- 日本維新の会
- 社会民主党
- 自由党
- 希望の党
- 沖縄社会大衆党
ただし、「日本維新の会」や「希望の党」については完全野党ではなく、政権に対して是々非々の姿勢で臨んでいるため、「ゆ党」と呼ばれているんです。
与党議員ばかりになると政権の暴走が起こります。
そのため、与党の暴走、しいては政権の暴走を監視するのが野党の大きな役割です。
例えば、与党が国民にとって不利益となる法律案などを通そうとしているときには、その疑問や矛盾について国会で追及し、正します。
両院における会派名及び会派別所属議員数は以下のとおり。
【衆議院】(平成31年1月16日現在 ※★は与党)
- ★自由民主党:282人
- 立憲民主党・無所属フォーラム:67人
- 国民民主党・無所属クラブ:37人
- ★公明党:29人
- 日本共産党:12人
- 日本維新の会:11人
- 社会保障を立て直す国民会議 :7人
- 社会民主党・市民連合:2人
- 希望の党:2人
- 未来日本:2人
- 自由党:2人
- 無所属:10人
- 欠員:2人
単純に自公議員数を足すと与党議員は311人、欠員を除くと野党議員は152人となります。
ちなみに「社会保障を立て直す国民会議」は、民進党→無所属となった野田佳彦氏などにより結成。
「未来日本」は、民進党→希望の党→無所属となった長島昭久氏と笠浩史氏による2人会派です。
無所属は、議長である大島理森氏を除き、旧民進党など野党系、かつ比例当選の議員が多いので、次期選挙までにはどこかの政党に所属する可能性が高いでしょう。
【参議院】(平成30年10月23日現在 ※★は与党)
- ★自由民主党・国民の声:126人
- ★公明党:25人
- 立憲民主党・民友会:24人
- 国民民主党・新緑風会:23人
- 日本共産党:14人
- 日本維新の会:11人
- 希望の会(自由・社民):6人
- 希望の党:3人
- 無所属クラブ:2人
- 沖縄の風:2人
- 各派に属しない議員:6人
単純に自公の議員数を足すと与党議員は151人、野党議員は91人に。
このように現在は衆議院、参議院とも、自民党、公明党の与党議員が圧倒的に多数を占めています。
そのため、自由党の小沢一郎氏は「野党共闘」を呼びかけ統一候補を出して選挙協力を行っていますが、なかなか多数を占めるに至らないのが現状です。
さらに民進党と希望の党の合流において二大政党誕生の可能性が出るも、小池百合子氏が行った「排除」がきっかけとなり、立憲民主党が発足するなど旧民進党はバラバラに。
二大政党の可能性は少し遠のいたといえるでしょう。
まとめ
今回は、衆議院と参議院の違いについて大小織り交ぜながらご紹介しましたが、いかがだったでしょうか?
まだまだ違いはありますが、今回は基本的なものをピックアップしてまとめました。
また、与党と野党の違いもご紹介しました。
国会の委員会中継などでは野党議員と閣僚による白熱した議論だけでなく面白いやり取りも結構見られますよ。
ぜひチェックしてみてくださいね!